《ストーリー》
世界の果ての果ての方。とてもとても小さな北国のそのまた隅っこに、2匹の猫がひっそりと、でも楽しく暮らしていました。
気の弱いのんびり屋。でもとても心暖かな男の子“ぐるり”。気が強くて怒りんぼ。でも本当はとても優しい女の子“ロール”。小さな頃からいつも一緒にいる2匹。
|
|
ある日、ぐるりは困っていました。
来週は大好きなロールの誕生日でしたが、ぐるりには何をプレゼントすればいいのかとんと思い浮かびませんでした。
ロールは宝石が大好きです。それはぐるりも知っていました。でも、ぐるりには宝石を買えるようなお金はありませんでした。
「はぁ……」
いくら考えても出るのはため息ばかり。
とその時、ふとぐるりはオーロラ原のことを思い出しました。
オーロラの色を透かして鮮やかに輝く氷たち。ぶつかってはくっつき、くっついては爆発して光の粉を散らす、冷たい自然の花火。
(うん、あれは綺麗だ)
まるで宝石みたい。あれならきっとロールも気に入ってくれるはず。
|
オーロラ原は氷原だからスケート靴でないと行けないけれど、苦手なスケートだって特訓してロールくらい上手くなってやる!
そしてぐるりはロールを誘います。「見せたいものがあるんだ」。
その言葉に、ロールはやっぱり不機嫌になりました。寒い。遠い。面倒くさい。
でもぐるりは諦めず、必死に誘いを続けました。そして、とうとうロールもオーロラ原へ行くことを(渋々)承知するのでした。
運命の日、ロールの誕生日がやって来ました。
ぐるりは張り切っています。相変わらずスケート靴の足下はおぼつきませんでしたが、でも輝く氷をどんどん爆発させて、1つでも多くの「花火」をロールに見せたかったのです。 |
|
「さ、行こう!」
そして2匹は手をつなぎ、オーロラ原の氷上に降り立つのでした。 |
|