Maru-Jan×脳測調査分析レポート
2013.10.25 樋田大二郎(青山学院大学教授)、五藤博義(レデックス認知研究所 所長)

前回の分析(橋本&五藤)は、脳測の得点と、年齢及びMaru-Janの利用状況の関係について主に調べたが、
今回は利用者の属性(職業、生活習慣:アンケート結果)と脳測の得点の関係について調査を行った。

●結果とその解釈

  1. 1.全体

    クラスタ分析を行ったが、全体がひとつのクラスタ(同一の傾向をもつ人の集団)という結果になった。
    今回の参加者は、Maru-Janの最近1年間の取組回数こそ異なるが、Maru-Janに強い関心をもつという点で
    共通していることが裏付けられた結果ということができる。

  2. 2.脳測のすべての課題について、第1回目と第2回目の得点の間に有意な相関が認められた。

    これは、脳測の先行研究で示された信頼性を裏付ける結果となった。
    このことから、属性と脳測の得点の関係の分析を、各課題の第1回目の得点を使って行うこととした。

  3. 3.脳測の課題の得点が、全体よりも相対的に差がある属性

    脳測の第1回目の各課題の得点を用い、各属性について全体の得点との差異で調べた。
    (得点がプラス5またはマイナス5以上のものを表中で着色)
    ただし、ここでの得点は中央値100、標準偏差15の指数*であり、
    その意味では有意な差があるとはいえない点に留意いただきたい。
    (クラスタ分析でクラスタが存在しないため、有意な差がないのは当然といえる)
    *各課題の指数設定は、一般高齢者を対象にした先行調査を元にしているため、
    この調査の平均点が100からずれた結果となっている。

    1. a.職業
      無職・定年退職(116人)では注意力とエピソード記憶が高く、ワーキングメモリが低い。
    2. b.睡眠時間
      サンプル数が少ない(11人)が、9時間または10時間の人はエピソード記憶が低い傾向にあった。
    3. c.運動頻度
      週に3~4回の人(58人)は、注意力と計画力が高く、ワーキングメモリが低い。半数近くを占める、
      運動をしていない人(233人)は計画力がやや低い傾向にあった。
    4. d.酒量別
      週に1~6本を飲む人(137人)はワーキングメモリが低い傾向にあった。
    5. e.障害の保有
      睡眠障害がある人(67人)は、注意力、ワーキングメモリ、計画力が低い傾向にあった。
  4. 4.脳測の点数が第1回目と第2回目で大きく変動した属性

    1. a.職業
      会社員(197人)は、注意力が上昇した。
      公務員(25人)は、計画力が上昇した。
      専門職(20人)は、注意力、ワーキングメモリ、計画力が上昇し、エピソード記憶は下降した。
    2. b.睡眠時間
      4時間(24人)は注意力が上昇した。
      8時間(50人)は計画力が上昇した。